優勝カップを掲げる青木（ＪＧＡホームページから転載）

青木が中嶋らとの激闘制し、４年ぶり２勝目

　兵庫・有馬ロイヤルＧＣ（7034ヤード、パー72）で行われた大会は、波乱の幕開けになった。
　第1日、優勝候補の尾崎将司が、３番ホールで誤球を犯した。深いラフのセッティングで、第１打を右のラフに入れ、ギャラリーが見つけた球を「よく確かめずに」打った。銘柄が同じだったが、４番ティーに行く前に誤球に気づき、第２打地点を探したが正球も見つからず、３罰打でこのホールが８となった。そのままリズムをつかめず78で111位発進になった。
　コース新の7アンダー65をマークしたグラハム・マーシュ（オーストラリア）が首位に立った。
　第２日、尾崎将は「風邪でくらくらする」と棄権。その代わりに？　弟子が頑張った。２位でスタートした飯合肇が３アンダー69で回り、通算７アンダーで、この日パープレーと足踏みしたマーシュに並んで首位並走になった。日刊スポーツ紙によると、師匠の尾崎将から「お前に任せた」と言われたそうで「オレはそう簡単には崩れないよ」と話した。
　青木功が最終18番で15ｍのロングパットを沈めるなど４つスコアを伸ばし通算６アンダーで３位に浮上した。
　第３日、首位に立ったのは藤木三郎。３日間、着実にスコアを伸ばして、９アンダーとした。藤木が気にしたのは、２打差２位につけている青木。「２打差が怖い。ボギーは必ず出るコースだから、１ホールのバーディー、ボギーで並ばれる。青木さんとは相性が悪いし」と話した。
　その青木は16番パー５で２.５ｍのイーグルを決めて８アンダーでいったんは首位に立ったが、18番ボギーで後退した。４年前、16回目の挑戦でこのタイトルを手にした六甲国際ＧＣはひと山隔てた隣。ゲンのいい土地に「明日はアウトで追いついて、15番からケンカだな」（日刊スポーツ）と話した。
　最終日、青木の相手はスコアを落とした藤木ではなく、青木に２打差４位スタートの芹沢信雄と、同４打差の８位スタートの中嶋常幸（当時登録名中島）だった。インに入って10、12番を取って９アンダーに伸ばして首位に立ったが、そこから伸ばせずパーが重なっていった。
　その間隙をついて、中嶋がインに入って５つスコアを伸ばして通算８アンダーでホールアウトした。芹沢は16番パー５でイーグルを取り、いったん青木に並んだが18番でボギーにして中嶋と同じく８アンダーで、青木を待った。
　青木の最終18番、第２打をグリーン左のラフに外した。青木自身は「プレーオフでもいいと思った」と振り返っている。6番アイアンでのランニングアプローチが１ｍに寄った。グリーンサイドで見つめていた中嶋、芹沢に諦めの表情が浮かんだ。これを沈めて、４年ぶり２度目のタイトルを手にした。
　45歳での優勝に「まだまだ負けない」と芹沢にいい、「やっぱり来たなあ」と中嶋をたたえた。そして「もうこんな崩れた顔は見られないかもしれないよ」と、満面の笑みを浮かべた。
（文責・赤坂厚）

プロフィル

青木功（あおき・いさお）
1942（昭和17）年8月31日生まれ、千葉県出身。中学卒業後、東京都民ゴルフ場に就職してゴルフの道へ。1964年にプロとなり、71年の関東プロで初優勝。国内では通算56勝（ツアー51勝）を挙げ、賞金王には５度輝いている。海外でも78年世界マッチプレー、83年ハワイアンオープン、87年コカ・コーラクラシックと、欧米豪の各ツアーで勝利を挙げた。シニア入り後は米チャンピオンズツアーで９勝している。2004年に世界殿堂入りし、08年には紫綬褒章を受章、13年に日本プロゴルフ殿堂入り、15年秋の叙勲で旭日小綬章受章。16年から日本ゴルフツアー機構（ＪＧＴＯ）会長。

第52回日本オープンゴルフ選手権

参加者数　139名（アマ23名）