第92回日本プロゴルフ選手権(2025年)
japanpro_2025清水大成がプレーオフを制してツアー初優勝
舞台となったのは、岐阜県の三甲ゴルフ倶楽部・谷汲コース(7337ヤード、パー72)。2006年以来19年ぶり2度目の開催となった。
第1ラウンド、前年覇者の杉浦悠太が快調なゴルフを見せた。大会前の公式会見で「調子がいい」と話していた通り、バーディを量産した。10番で左に落としてボギースタートになったが、そこから快進撃。11番バーディでスコアを戻すと、自己ベストとなる9バーディを奪って8アンダーパー64で首位発進した。PGAWEBによると「ボギーはショックでしたがすぐ取り返せたので安心した」といい、連覇に向けて「優勝したいです。プロとしての1勝目はほんとに大きかったし、今の自信になっています」と話した。
杉浦とは2打差の66をマークして2位につけた蟬川泰果は、スタート10番でバーディとして波に乗った。この大会に勝てば日本オープン、日本シリーズに続いての日本3冠を最年少で達成する。
さらに1打差の3位には稲森佑貴、大田和桂介、時松源蔵、鈴木晃祐、岩田寛、永野竜太郎と続き、混戦を予想させた。
第2ラウンドは、4アンダーパー9位からスタートしたショーン・ノリス(南アフリカ)が大会タイの11アンダーパー61という驚異的なスコアをたたき出し、通算15アンダーパーで首位に立った。最終18番ではグリーン右奥から15ヤードのアプローチを放り込み、ツアー最少パット数タイの18パットで計11個のバーディを奪った。「特に何かってことでもないのですが、ゲームに集中することができました。フェアウェイ、グリーン、フェアウェイ、グリーンっていうゲームプランです」と話している。
ノリスのスコアを意識したのか、他の選手はなかなかスコアを伸ばせなかったが、その中で3位スタートのツアー未勝利の鈴木が5バーディ・1ボギーの4アンダーパーで回り、通算9アンダーパーでノリスに6打差2位に浮上した。第1ラウンド首位の杉浦は74をたたいて10位に後退した。
第3ラウンドで、独走していたノリスにルールミスが発覚した。テレビ中継を見ていた視聴者から14番グリーン上でリプレースした場所が誤所ではないか、という指摘があり、ビデオ検証した上で、本人も認めたため故意ではないと判断して2罰打となり、この日75で首位を守ったものの通算12アンダーパーにスコアを落とした。
このアクシデントで一気に混戦になった。首位と8打差6位スタートの生源寺龍憲が、6バーディ・1ボギーの5アンダーパーで回り、通算12アンダーパーでノリスと首位に並んだ。また首位と7打差3位スタートのレフティ細野勇策が3つ伸ばして通算11アンダーパー3位で追走。さらに5つスコアを伸ばした堀川未来夢が通算10アンダーパーで4位につけた。
最終ラウンドは、3打差に7人がひしめく中で、後半は最終組の首位タイスタートの生源寺と、1つ前の組で3打差5位スタートの清水大成の一騎打ちになった。
清水は、序盤から3連続バーディで滑り出すなど、前半5つスコアを伸ばした。後半も11、12番連続バーディでついに首位に。しかし、16番第1打を左斜面のカート道に打ち込み、第2打をOBにしてダブルボギー。17番パー3もボギーで後退した。最終18番パー5でバーディとし、通算14アンダーパーの首位タイでホールアウトした。
一方の生源寺は前半首位を守ったが、11番のダブルボギーで清水に首位を譲った。12番でバーディを取り、清水が崩れたことで通算14アンダーパーでいったんは単独首位に返り咲いたが、18番で追いつかれ、自身はパーに終わって、プレーオフに突入した。
プレーオフは18番パー5(602ヤード)の繰り返しで行われた。1ホール目、清水は右がけ下に落としたが、フェアウェイに出して第3打がグリーンをとらえてパーで引き分けに持ち込み、ピンチをしのいだのが大きかった。2ホール目もパーで分けた。3ホール目では、ともにバーディで分けた。
4ホール目、生源寺はラフを渡り歩いて3打目でグリーンを外し、5メートルに4オンした。清水はフェアウェイから3メートルに3オンした。生源寺がパーパットを外し、パーに収めた清水が同学年プレーオフを制した。
プロ5シーズン目で、ツアー初勝利が公式戦となった。日本プロでのツアー初優勝は史上9人目。前年は2位2回などトップ10に9回入りながらも、優勝が遠かった。「ホッとしたというか、やっと勝てたという気持ちでいっぱい。最高です」と笑顔を見せた。
(文責・赤坂厚)
プロフィル
清水大成(しみず・たいせい)
1999年1月17日生まれ、福岡県出身。9歳でゴルフを始め、ベースボールグリップでプレーする。ゴルフ部がない東福岡校では個人で活動し、日大に進んで1年で日本学生を制した。プロ転向した2020年のQTで5位となり、翌21年ツアーデビューしてシード権を獲得。24年にはトップ10に9回入って賞金ランク8位に入った。25年は日本プロで初優勝し、賞金ランク20位だった。
第92回日本プロゴルフ選手権
| 順位 | 選手名 | Total | Round |
|---|---|---|---|
| 1 | 清水 大成 | 274 | = 70 70 67 67 |
| 2 | 生源寺 龍憲 | 274 | = 68 69 67 70 |
| 3T | 木下 稜介 | 277 | = 70 73 68 66 |
| 比嘉 一貴 | 277 | = 74 67 70 66 | |
| 米澤 蓮 | 277 | = 73 67 70 67 | |
| 金子 駆大 | 277 | = 68 72 70 67 | |
| 池村 寛世 | 277 | = 68 69 70 70 | |
| 杉浦 悠太 | 277 | = 64 74 69 70 | |
| 9T | 大岩 龍一 | 278 | = 70 71 70 67 |
| 佐藤 大平 | 278 | = 73 68 69 68 | |
| S・ノリス | 278 | = 68 61 75 74 | |
| 細野 勇策 | 278 | = 70 66 69 73 |








