第58回日本女子プロゴルフ選手権(2025年)
優勝トロフィーを掲げる金澤志奈(photo:JLPGA/Getty Images)地元・茨城で金澤志奈が涙の初優勝
鹿島灘に面する大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)が初めて女子ツアー公式競技の舞台となった。大会史上最長となる6840ヤード(パー72)のセッティングに131選手が挑んだ。
9月11日に始まった第1ラウンドは午後4時前に雷雲接近のため中断。そのままサスペンデッドとなり50選手が終了できなかった。
翌12日、第1ラウンドを完了した時点で首位は7アンダーパー65をマークした桑木志帆。2位の小林光希に3打差をつけた。続いて行われた第2ラウンドは日没のためサスペンデッド。10選手がホールアウトできなかった。この時点で暫定首位は第2ラウンドを65で回って通算10アンダーパーとした佐藤心結。3打差で桑木と金澤志奈が続いた。
13日は午前7時24分から第2ラウンドの残りを消化。その後、第3ラウンドがスタートした。首位で出た佐藤は3バーディ・3ボギーの72で回って通算10アンダーパーをキープ。69をマークした桑木が佐藤と並ぶ首位に浮上した。金澤は70で回って1打差3位。3打差4位で青木瀬令奈が続いた。
気温が30度を超えた第4ラウンド、最終組は前日と同じ桑木、佐藤、金澤の3人だった。桑木は前年、初優勝から計3勝を挙げてメルセデス・ランキング6位という実績を持つ。22歳の佐藤も前年初勝利をつかんでおり、3人の中で最年長、30歳の金澤だけが未勝利だった。
細身の金澤は飛距離が出ない。2025年のドライビングディスタンスは229.13ヤードで部門順位は92人中81位。同部門12位の佐藤、20位の桑木には飛距離で大きな差をつけられていた。
それでも、その差を十分に補える正確性、ショートゲームという武器がある。それに、茨城県出身の金澤にとって大洗ゴルフ倶楽部はジュニア時代から何度も回ったコース。地の利もあった。
佐藤が序盤から国内屈指の難コースに牙をむかれて崩れ、桑木も苦戦する中、金澤はしっかりと自分のプレーを貫き、2番、10番のパー5で3打目をしっかり寄せてバーディ。この時点で3打のリードを奪っていた。
だが、15番でショットが乱れて初ボギー。11、15番バーディの桑木に追いつかれた。他の組では小林と永峰咲希が猛追してきており、一気に混戦となった。
難関が続く上がり3ホール、金澤はすべて1パットのパーでしのいだ。桑木もすべてパー。決着は通算10アンダーパーで並んだ2人のプレーオフに持ち越された。
大会12年ぶりのプレーオフは18番パー4で行われた。右の林に入りそうだった金澤の1打目は木に当たってラフにとどまった。2打目をグリーン左カラーまで運び、3打目を1mに寄せる。桑木がパーパットを外したあと、ウイニングパットを沈めた。
プロ9年目、悲願の初優勝を地元で、しかも公式競技で飾ってみせた。目をうるませながら大歓声に応える。「やっと勝てた」の言葉から道のりの長さがうかがえた。
(文責・宮井善一)
プロフィル
金澤志奈(かなざわ・しな)
1995(平成7)年7月29日生まれ、茨城県出身。岩瀬日大高校から中央学院大学に進む。大学2年時の2015年に関東女子学生ゴルフ選手権に勝ち、2016年には日本女子学生ゴルフ選手権で優勝。JGAナショナルチームにも選ばれた。2017年にプロテスト合格。2020-21年に初シードを獲得した。2025年日本女子プロゴルフ選手権で初優勝。同年のメルセデス・ランキングは8位に入った。
第58回日本女子プロゴルフ選手権成績
| 順位 | 選手名 | Total | Round |
|---|---|---|---|
| 1 | 金澤 志奈 | 278 | = 70 67 70 71 |
| 2 | 桑木 志帆 | 278 | = 65 72 69 72 |
| 3T | 小林 光希 永峰 咲希 |
279 | = 68 71 73 67 = 72 72 67 68 |
| 5 | 青木 瀬令奈 | 281 | = 70 71 68 72 |
| 6T | 高橋 彩華 佐藤 心結 |
282 | = 73 70 69 70 = 69 65 72 76 |
| 8T | 神谷 そら 髙野 愛姫 |
284 | = 73 73 69 69 = 73 68 69 74 |
| 10T | 寺岡 沙弥香 荒木 優奈 申 ジエ 阿部 未悠 |
286 | = 71 71 75 69 = 75 70 71 70 = 70 71 73 72 = 71 71 72 72 |








